怪しいメールが届いても、AIに見せれば一人で決めなくて済みます

60代からのAI@けいこ
60代からのAI@けいこ

@keiko1965 9本

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「ご利用のカードを一時停止しました」という件名のメールが、ある朝届いたとします。

娘に電話するほどでもなく、かといって消してしまう度胸もない。

あの宙ぶらりんの数十秒は、スマホに一言たずねるだけで終わりにできますよ。

「カードのご利用を停止しました」というメール、見分けがつきますか?

文面はこんな具合です。

「お客さまのカードに不審なご利用が確認されたため、一時的に停止いたしました。お手数ですが、下記より1時間以内にご確認をお願いいたします」

差出人の名前も、いつも使っている会社のものになっています。

昔の詐欺メールなら、すぐに分かりました。

日本語がどこかおかしかったからです。

助詞の使い方が変だったり、漢字が1文字だけ中国のものだったり。

今は、そこがきれいに直っています。

敬語の運びも、改行の入れ方も、本物と同じです。

何通か並べて見比べてみましたが、文面だけでは決め手になりませんでした。

見分けがつかないほうが、むしろ普通なんです。

見分けがつかないのは、注意が足りないからではありません

座卓に置かれたスマホと銀行の封筒、老眼鏡を描いた水彩イラスト

理由は単純で、詐欺のほうの文章もAIで作られるようになったからです。

誤字も、不自然な言い回しも、今はほとんど残りません。

長いあいだ言われてきた見分け方が、そのぶん効きにくくなりました。

差出人のアドレスを確かめる。

急がせる言い方に気をつける。

どちらも今でも大事なことですが、これだけで白黒つけるのは正直むずかしくなっています。

ですから「私はしっかりしているから大丈夫」という構え方は、あまり守りになりません。

守りになるのは、その場で誰かに見てもらうことのほうです。

ただ、その誰かがいつもそばにいるとは限りませんよね。

そこを埋めてくれるのが、スマホの中のAIです。

怪しいメールは、そのままAIに見せてしまえばいいんです

縁側で両手にスマホを持って画面をのぞきこむ手元を描いた水彩イラスト

やることは3つです。

  • 届いたメールの画面を、そのまま写真に撮る
  • AIのアプリを開いて、その写真を送る
  • 「これは詐欺のメールでしょうか。そう思う理由も教えてください」と打つ

画面を写真に撮る操作は、iPhoneなら右側のボタンと音量を上げるボタンを同時に押します。

丸いホームボタンがあるiPhoneをお使いなら、ホームボタンと右側のボタンを同時に。

Androidは電源ボタンと音量を下げるボタンを同時に押します。

うまく撮れていれば、いつもの写真の一覧にその画面が入っていますよ。

AIのアプリをまだ入れていない方でも大丈夫です。

よく使われているのはChatGPT(チャットジーピーティー)で、無料のままでも写真を見てもらえます。

返ってくるのは、詐欺の可能性が高いのか、それとも問題はなさそうか、という見立てです。

そして、そう考えた理由が続きます。

差出人のアドレスが、その銀行の正式なものと一字だけ違う。

1時間以内という急かし方が、本物の案内では使われない。

押させようとしている先の文字列が、公式のものと別物になっている。

こういうことを、順に並べて教えてくれます。

自分では気づけなかった一字違いを指摘されたときは、あらまあ、と声が出ました。

ひとつだけ気をつけることがあります。

口座番号や暗証番号、生年月日が写っている部分は、指で隠して撮るか、消してから送ってください。

アメリカでは今年の1月に、これを高齢の方向けに専門でやる会社も始まっています。

Jortty(ジョーティ)といって、怪しいメールを決められた宛先に転送すると「詐欺です」「詐欺の疑いがあります」「問題ありません」のどれかで返事が来て、そう判断した理由も付いてきます。

無料で使える枠があり、しっかり使うなら月20ドル、日本円でおよそ3,000円からです。

「95パーセント当たる」は、作った会社が自分で出した数字です

この会社の発表文には「95パーセントの精度で見抜く」と書かれています。

心強い数字ですが、これは会社が自分で出したものです。

外の誰かが確かめた結果ではありません。

AIも間違えます。

そして怖いのは、間違えて「詐欺です」と言われたときではなく、間違えて「問題はなさそうです」と言われたときのほうです。

ですからAIの答えは、決めるための材料であって、答えそのものではないと思っておいてください。

大丈夫と言われても、メールの中の押せる文字には触れない。

書かれている電話番号にもかけない。

確かめるときは、カードの裏や通帳に印刷されている番号に、こちらからかける。

この順番さえ守っていれば、まず間違いは起きませんよ。

日本でも、お金を取られているのは私たちの世代です

警察庁がまとめた2025年の数字を見ると、特殊詐欺の被害は全国で27,832件、金額にして1,423億円でした。

前の年のほぼ2倍です。

だまし取られた1件あたりでは、523万円になります。

このうち65歳以上の方の被害は14,273件、金額で841億円。

会社が狙われた分をのぞいた件数で見ると全体の51.3パーセント、金額では59.2パーセントを占めています。

目を引いたのは、件数の割合が前の年より14ポイントも下がっていることでした。

私たちの世代の被害が減ったからではありません。

件数だけを見れば、前の年より535件増えています。

20代や30代にも被害が広がって、分母のほうが大きくなっただけの話です。

詐欺はもう、年齢で線を引ける話ではなくなりました。

それでも、取られたお金の6割はやはり私たちの世代から出ています。

最初にどこから接触されたかも出ていて、いちばん多いのは電話で78.8パーセント。

メールやメッセージは13.8パーセントです。

ただし、身に覚えのない料金を請求してくる手口に限ると、メールやメッセージが47.9パーセントで最も多く、前の年より20ポイントも増えていました。

日本にも、この用途の専用アプリはありますよ。

トレンドマイクロの詐欺バスターは、怪しい画面の写真を送るとAIが判定してくれます。

ホームページの画面、警告の表示、広告、ショートメール、メール。

どれも見てもらえます。

ただしこの詐欺チェックの機能は、30日の体験期間が過ぎると有料になります。

毎回きちんと見てもらいたい方は、こちらを検討してもいいと思います。

今日できるのは、迷惑メールを1通、練習で見せてみることです

本物が届いてから初めて使うのでは、たいてい慌てます。

ですから、何ごともないうちに一度だけ試しておいてください。

メールのアプリに「迷惑メール」という箱があるはずです。

開けてみると、たいてい何通か入っています。

その中の1通で構いません。

写真に撮って、AIに見せて、「これは詐欺のメールでしょうか」と聞いてみる。

どんな言い方で答えが返ってくるのかを一度見ておけば、本番で戸惑わずに済みます。

かかる時間は1分ほどです。

あの数十秒のあいだ、一人で決めなくていい。

それが分かっているだけで、宙ぶらりんの心細さはずいぶん軽くなりますよ。