AIツールの比較記事を10本読んでも、出てくるのはだいたい Flux と Midjourney と Nano Banana の3つで終わります。
でもロゴをSVGで納品したい日も、サムネの日本語を1文字も崩さず入れたい日もあって、その3強はどっちも本気で得意ではない。
GitHubで12,431スターを集めているリストから、日本語の解説がまだ薄い実力派を10個引っ張ってきました。
なぜ今 Flux と Midjourney の「外」を見るのか
3強が弱いのは絵の質ではありません。
弱いのは、絵ができたあとの工程です。
この表の左の列、全部 Illustrator と外注と根性で埋めてきた穴なんですよね。
10個の出どころは steven2358/awesome-generative-ai です。
2026年8月6日時点で12,431スター、直近のpushは8月3日、未処理のissueは535件。
その多くが「このツールも入れてくれ」という追加提案なので、止まったブックマーク集ではなく増え続けている台帳です。
Image配下だけでも6階層に分かれていて、有名どころは Models に固まっています。
面白いものが埋まっているのは、その隣の Services のほう。
以前awesome-design-md を画像生成プロンプトに翻訳したときも思いましたが、GitHubのリストは読み方を変えると素材の山になります。
ベクターとロゴ編 Recraft と Modyfi は「編集できる形」で返してくる
Recraft の価値は絵の上手さではなく、出力形式にあります。
SVGで出る。
パスが入った状態で来るので、Illustrator でも Figma でも開いた瞬間に色も線幅もアンカーも触れます。
ロゴ、アプリアイコン、印刷物の図版。
ラスター画像では納品できない案件を Flux でやると、きれいな絵ができたあとに手でトレースし直す時間が発生します(FLUX 3 の現状はこちら)。
効くのは、スタイルを固定してから連番で出す使い方です。
「線幅2pxの単色ラインアイコン、角丸、余白は均等」と決めてスタイルを保存し、そこに「カレンダー」「時計」「封筒」と単語だけ差し替えていく。
16個そろえても線の太さがブレません。
ただし無料枠の生成物は公開扱いで商用利用できず、商用は有料プラン(月10ドル、約1,500円前後からとされる)が前提です。
Modyfi はさらに知られていなくて、日本語だとツール紹介ディレクトリに機械的に載っているくらい。
ブラウザだけで動くデザイン環境で、ビットマップとベクターを同じキャンバスで扱えます。
処理がノードベースで非破壊なので、効果を重ねても元に戻れる。
40種類以上のエフェクトがリアルタイムで効いて、WebGPUで動くのでブラウザなのに待たされません。
Recraft で形を出して、Modyfi で色と質感を詰める。
インストール作業ゼロでここまで通せるのは、正直けっこう気持ちいいです。
質感とタイポ編 KREA と Ideogram は狙いを外さない
生成AIで一番もったいない時間は、「思ってたのと違う」を10枚並べて選ぶ時間です。
KREA はそこを設計から変えてきます。
左にラフを置くと、右の生成結果が50ミリ秒以下で追いかけてくる。
ブラシを1本足す、色を変える、単語を差し替える、そのたびに結果が動きます。
「生成して選ぶ」から「動かしながら合わせにいく」に変わるので、ラフからの清書が別物の速さになる。
無料でもリアルタイムモデルと2Kアップスケールまで触れますが、無料枠の生成物は商用利用できません。
商用ライセンスは月8ドル前後(約1,200円)のプランから、というのが現時点の建て付けです。
日本語プロンプトの解釈はまだ発展途上なので、指示は英語のほうが素直に効きます。
Ideogram は、画像の中に文字を描くほうの専門家。
3.0で日本語を含む多言語の精度が上がり、2026年6月の4.0では文字描画のベンチマークで0.97というスコアが報告されています。
ただ、ここは正直に言っておきたい。
日本語は英字ほど安定しません。
漢字は画数の多いところで潰れるし、長い文をそのまま渡せばどこかが必ず崩れます。
実務で使うなら、押さえるのは3点。
- 文字列は短く。「AI副業入門」くらいの6文字前後がいちばん崩れにくい
- フォント名で指示しない。
bold gothic, thick strokes, high contrastのように形で言う - 1枚に1文字列。見出しとサブコピーを同時に頼むと片方が犠牲になる
崩れたら直すのではなく、崩れにくい条件に寄せる。
nano banana Pro のプロンプトを全部試したときも同じで、モデルの得意な形に指示のほうを合わせにいくほうが速いです。
音編 Udio と Mubert でSNS動画の音を内製する
絵を作る人ほど、音で詰まります。
リールを作り終えて、いざ音をつける段でフリー素材サイトを30分さまよう。
Udio は歌詞とジャンルを渡すとボーカル入りの曲が返ってくるサービスで、この30分を一撃で消してくれる存在でした。
「でした」と書いたのには理由があります。
2025年10月にユニバーサル ミュージック グループとの訴訟が和解して以降、生成した曲のダウンロードが止まっています。
ライセンス済みの新プラットフォームを共同で作る、つまり作った曲をサイトの外へ持ち出せない設計に向かっていて、2026年に入ってから段階的に移行が進んでいる。
「無料プランでもクレジット表記すれば商用OK」と書いてある解説を見かけたら、それは和解前の情報です。
触る価値はありますが、案件に組み込む前に必ず公式で現在の規約とダウンロード可否を確認してください。
対してMubert は、後ろで鳴っていればいいBGM側の担当。
ムードとジャンルと尺を指定すると、ロイヤリティフリーの曲が生成されます。
毎回ライセンス条項を読んで契約する手間が消えるのが本体価値です。
ただし無料と Creator プランは商用利用不可で、商用は Pro 以上とされています。
主役の歌が要るなら Udio、後ろで鳴ってればいいなら Mubert。
いまの状況だと、案件で回しやすいのは Mubert のほうです。
裏方編 Groq と MCP は絵の外側で効いてくる
先に混同を潰しておきます。
Groq と Grok は別物です。
Groq は Jonathan Ross さんが立ち上げた半導体の会社で、LPU という推論専用チップを作っています。
Grok はイーロン・マスクさんの xAI が出しているチャットボット。
発音が同じなので、日本語で「Groq 画像生成」と検索すると Grok の記事が普通に上位に出てきます。
公式は groq.com のほう。
ここを取り違えると、まったく別のものの解説を延々と読み続けることになります。
で、Groq は絵を作りません。
作るのは速度です。
LLMの応答が返ってくる速さに全振りしていて、これがプロンプト設計の壁打ちに効く。
「この1文を、光の方向だけ変えて20パターン」と投げて、待ち時間ほぼゼロで返ってくる。
画像を20枚頼む前に言葉のほうを20パターン試すほうが当たりが早い、というのは絵をやっている人ほど納得すると思います。
MCP はここまでの並びとは温度が違って、今日すぐ効くツールではありません。
AIモデルと外部ツールをつなぐ共通規格で、これ自体は何も生成しない。
ただ Claude Desktop や Claude Code に画像生成のMCPサーバーをつないでおくと、チャットの会話だけで生成から保存まで通せます。
いまはつなぐ側にひと手間かかりますが、この規格が行き渡ると「ツールを開く」という手順そのものが消える。
半年後に効いてくる話として、名前だけ置いておく枠です。
アセットと仕上げ編 Scenario と Magnific で量産と詰めをやる
同じ絵柄で素材を100個そろえる、という仕事は生成AIが一番苦手なところです。
プロンプトを固定しても、10枚目あたりから顔つきが変わる。
Scenario はそこを、自分の絵を学習させることで解いています。
参考にしたい絵を15〜50枚アップロードすると、その絵柄のモデルが自分専用に作られる。
あとは「剣」「盾」「回復薬」と投げていけば、絵柄のそろったアイコンが並びます。
ゲーム素材向けなので、スケッチから塗るライブペイント、PBR向けのテクスチャベイク、既存アセットの絵柄だけ差し替えるリスキンまで入っている。
無料枠は1日50クレジット、有料は月15ドル(約2,300円)前後からとされ、有料プランには商用ライセンスが付きます。
公式が英語のみで日本語記事もほぼ無いせいで埋もれていますが、インディー開発やVTuberの差分づくりだと刺さり方が違うはずです。
Magnific は最後の詰め担当。
アップスケーラーと呼ばれていますが、やっているのは拡大ではなく描き直しです。
ピクセルを補間するのではなく、足りないディテールをモデルが作り足す。
creativity のスライダーで「どれくらい捏造していいか」を調整できるのがポイントで、上げすぎると別人になります。
1枚1〜3分かかるので、最終カットにだけ使う工程だと思ったほうがいい。
ここもGroqと同じで名前がややこしくて、2024年に Magnific を買収した Freepik が、いまはブランドごと Magnific に寄せています。
アップスケーラーとしての Magnific と、素材サービス全体としての Magnific が同居している状態なので、最大16倍が使えるプランを含めて料金は公式で確認してください。
Recraft や KREA や Scenario で作って、Magnific で詰める。
ただし顔と文字は描き直されると崩れるので、そこだけは元画像を守る運用にしてください。
用途別の逆引きマップ 目的から選ぶ
まとめ 10個のうち最初に触るならこの3つ
10個ぜんぶ試す必要はありません。
いま自分の作業で詰まっている工程が、このどれかに当たっているかだけです。
最初に触るなら Recraft、Ideogram、Scenario の3つを推します。
この3つが解いているのは、有名3強では原理的にどうにもならない問題だから。
出力形式、文字、絵柄の一貫性。
どれもプロンプトを100回書き直しても解決しません。
Groq は1日で慣れます。
Magnific と Modyfi は作るものが決まってから。
Udio は規約が落ち着くまで様子見、MCP は名前だけ。
そして、どのツールに移っても効くのは言葉のほうです。
道具を増やす前に指示の解像度を上げたいなら、画像生成AIプロンプトの書き方に一度戻ってもらうのが早いと思います。
センスじゃない、言語化だ。
道具が10個増えても、そこは変わらないんですよね。



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