盛らずに垢抜けた自撮りを作る、韓国で広がる引き算のAI加工3つ

ゆず
ゆず

@yuzuppi 7本

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加工して上げた自撮り、あとから見返して盛りすぎたなって思うことないですか。

韓国では今その加工を減らす方向に空気が動いていて、インスタに残す1枚も引き算で作るようになりました。

引き算といっても消す作業ではなくて、AIに「戻して」と頼むだけです。

韓国発の加工できないSNSが日本のApp Storeでも1位になりました

setlog(セットログ)というアプリ、もう入れてる人いるかもしれません。

決まった時間に通知が来て、2〜4秒の動画を撮る。

それが1日ぶんたまると、勝手に1本のVlogになる。

売りは機能じゃなくて、できないことのほうです。

フィルターなし、編集なし、補正なし。

見せる相手も、招待した12人まで。

作っているのは韓国のnew chatというチームで、2025年末にiPhone版、2026年4月にAndroid版が出ました。

韓国で1位を取ったあと日本に飛び火して、こっちでもApp Storeの1位です。

2026年1月から5月のダウンロードは韓国が38%、日本が23%。

しかも5月だけ見ると日本が133万で、本国の韓国の130万を追い越しています。

韓国側の記事で繰り返し出てくるのが「채점받지 않는 소통」という言葉で、採点されないコミュニケーション、という意味です。

いいねも閲覧数もないので、うまく撮れてるかを気にしなくていい。

裏を返せば、インスタは採点される場所だとみんな思っている、ということです。

とはいえインスタをやめる人はそんなにいなくて、両方持って使い分けています。

おかげで妙なことが起きていて、加工なしの居場所ができたぶん、インスタに残す1枚のほうも変わりました。

盛るんじゃなくて、盛ってないように見せる方向です。

韓国の加工の話でよく出てくるようになったのが「우아한 리얼리즘」、上品なリアリズムという言葉です。

やることは減ったのに、難易度のほうは上がりました。

引き算のAI加工はスマホが勝手に盛った分を戻すところからです

スマホのカメラが撮影時にかけた美肌処理をAIで戻す前後の肌の質感の違いのイメージ

自分で加工する前に、写真はもう1回加工されています。

Androidの一部の機種は美肌モードが最初からオンで、撮った瞬間に肌がなめらかになります。

iPhoneに美肌モードはないんですけど、明るさや質感を整える処理は勝手に走ります。

つまり、引き算のスタート地点がゼロじゃない。

気づかないまま自然に仕上げようとすると、なめらかになった肌の上にさらに足すことになります。

なので最初にやるのは、戻すほうです。

使うのはGeminiアプリ。

画像を作るモードにして、自撮りを1枚添付してから、下の文章を貼ります。

裏で動いているモデルはNano Banana 2、正式名はGemini 3.1 Flash Imageです。

この写真の肌に、撮影時のカメラ処理でなめらかになりすぎた部分があります。毛穴と細かいうぶ毛、頬のわずかな凹凸を、元の顔にあった状態に戻してください。色と明るさは変えず、質感だけを戻してください。この文章に書いていない場所は触らないでください。

キモは「戻して」という動詞です。

「質感を足して」と言うと、AIは知らない毛穴を新しく描き込んで、ざらざらした他人の肌になります。

戻して、なら元の写真に残っている情報を頼りにしてくれます。

最後の1文も外さないでください。

縛っておかないと、ついでに歯を白くしたり目を大きくしたりしてきます。

戻した直後は、正直ちょっと不安になります。

急に肌が生々しく見えるので。

でもその状態でインスタに上げると、なぜかいちばん褒められます。

くすみトーンは彩度を足さずに1段落とすだけで作れます

彩度を1段だけ落として撮ったままの空気に近づけた自撮りの色味の変化のイメージ

韓国のインスタで見る写真が落ち着いて見えるの、フィルターの種類じゃなくて彩度の位置です。

加工アプリのプリセットって、だいたい色を持ち上げる方向に振ってあります。

空は青く、緑は鮮やかに、肌は血色よく。

全部を1段上げると確かにきれいなんですけど、加工したことが色でバレます。

今の韓国の写真は逆で、色をひとつまみ抜いてあります。

日本で言うところのくすみトーンが、写真のほうに乗っている状態ですね。

抜けたぶん、輪郭と表情が前に出てきます。

ここ、ちょっと面白い話があって。

2026年の韓国のファッションはむしろ色を強くぶつける方向に動いていて、ベビーブルーに赤、ミントグリーンにバターイエローみたいな組み合わせが今の正解とされています。

服は色で遊ぶのに、写真のトーンは落とす。

矛盾しているようで、これがセットになると服の色だけが立ちます。

投げるのはこれです。

この写真全体の彩度を1段だけ下げてください。青と緑は強めに落として、赤と黄色は少しだけ残してください。肌の色はそのままで、血色は落とさないでください。明るさとコントラストは変えず、彩度以外は何も足さないでください。

肌の色を除外するのが分かれ目です。

全体をまとめて落とすと顔から血の気が引いて、具合が悪い人になります。

青と緑だけ強めに落とすのは、背景の空や植物のほうが先に主張してくるからです。

1段でものたりないときも、2段までにしてください。

3段落とすとモノクロに寄って、今度は思い出っぽさが出すぎます。

背景の生活感まで消すと自撮りは急に作り物に見えます

自撮りって顔ばかり見ちゃうんですけど、加工バレはだいたい背景で起きます。

部屋で撮った1枚の背景に、洗濯物とか、飲みかけのペットボトルとか、コードとか写ってますよね。

あれをAIに片付けさせると、顔は何も触っていないのに写真全体が急に嘘っぽくなります。

理由は単純で、人間が「その場にいた」と感じる材料が全部そこにあるからです。

生活感は雑音じゃなくて、証拠のほうです。

setlogに上がってる動画がなぜか見ていられるのも、同じ理屈だと思っています。

すっぴんとか、天井とか、食べかけのクッパとか、そういうものが写っているから本当っぽい。

だから背景に対しては、消すんじゃなくて見えるようにするだけ。

この写真の背景に写り込んでいる物は、消したり片付けたりしないでください。位置も数もそのままにして、背景の暗いところだけ少し持ち上げて、何が写っているか分かる明るさにしてください。背景に新しい物やぼかしを足さないでください。

「ぼかしを足さないでください」を入れているのは、AIが親切心で背景をぼかしてくるからです。

ぼかした瞬間にスタジオで撮ったみたいになって、部屋で撮った自撮りの良さが消えます。

きれいな部屋が写ってる写真より、生活してる部屋が写ってる写真のほうが今は強いです。

加工したと言えるくらいで止めておくのが今の空気です

強度をどこで止めるか、迷ったときの基準は1つだけあります。

その写真を上げるときに「AIで少し調整しました」と添えられるかどうか。

添えられるなら止めていい。

添えたら台無しになるなら、やりすぎです。

これ、けっこう効きます。

隠す前提で加工していると上限がなくなるんですけど、言う前提だと勝手に手が止まるので。

そもそも隠しきるのはもう無理です。

Geminiで作った画像にはSynthIDという電子透かしが埋め込まれるので、目で見えなくても機械にかければAIが触ったことは判別できます。

採点されない気楽さがsetlogの人気の理由なら、インスタで張り合う先も点数ではないはずです。

加工したと言える範囲で仕上げた1枚のほうが、結果として長く見ていられます。

まとめ 引き算のAI加工は今日の自撮り1枚から試せます

順番だけ持ち帰ってください。

戻す、落とす、残す。

スマホがかけた美肌処理を戻して、彩度を1段落として、背景の生活感は残す。

どのプロンプトにも「足さないでください」が必ず入っています。

引き算の加工でいちばん難しいのは、AIに何かをさせないことなので。

まずはアルバムを開いて、いちばん盛れてない1枚を選んでみてください。

盛れてる1枚から始めると、もう乗っている加工の上にさらに重ねることになります。

引き算は、素の写真ほど効きます。