MiniMax H3のプロンプトは3つの欄に分けて書きます

プロンプト画伯
プロンプト画伯

@promptpainter 62本

サムネイル

MiniMax H3が2K対応のオープンウェイトとして紹介されているのを見て、重みを落とした人はけっこういるはずです。

でも手元で回すと、出てくるのは短辺768ピクセルの動画でした。

しかも配られていないのは解像度だけではなくて、品質を決めている部分がまるごと外れています。

2K対応と書かれていますが、配られている重みは768pです

モデルカードにはっきり書いてあります。

短辺は既定で768ピクセル、2Kにするには H3-Regenerate-2K という別モジュールが要る。

これは768pで出した結果を元の文脈ごとH3にもう一度食わせて、2Kで生成し直す仕組みです。

アップスケーラーではなく、本体を使った描き直しなんですよね。

そして肝心のこのモジュールについて、モデルカードは「システムが複雑なため、まだオープンソース化していない」と書いています。

つまり2Kはサービス側の話であって、落としてきた重みからは出てきません。

重みで出せるのは4秒から15秒、フレームレートは24fps。

アスペクト比は21:9や9:16を含めて幅広く選べます。

非公開なのは解像度だけではありません

水彩で描いた 組み立て途中の映写機から部品がいくつか抜け落ちているイラスト

もう1つ外れているのが H3-Context-IR です。

こちらはプロンプトの前処理を担当する部分で、テキストと画像と音と参照動画の関係を読み、時間の流れや論理を解釈して、H3本体が受け取れる構造化された表現に組み直します。

足りない指定があれば、元の意図を壊さない範囲で補ってもくれる。

そしてモデルカードには、これが「最終出力の品質にとって決定的」だと書かれています。

決定的だと自分で言っている部分が、丸ごと非公開なんです。

多段のワークフローと複数のホスト型モデルに依存しているから、というのが理由で、代わりにAPIが提供されています。

ここで選択肢が2つに割れます。

  1. APIを通して公式のワークフローごと使う
  2. 構造化されたプロンプトを自分で書いて、直接H3本体に渡す

面白いのは、2番を選ぶ人のためにMiniMaxが書き方のガイドを公開していること。

要するに「Context-IRが吐いている形を、人間が手で書け」ということです。

プロンプトは3つの欄に分けて書きます

ガイドを開くと、プロンプトは3つの欄に分かれていました。

  1. integrated_multimodal_description 映像本体
  2. overall_soundscape 環境音と動作音
  3. non_diegetic_music 劇伴

まず映像の欄では、冒頭で必ずスタイルを宣言します。

Live-action, cinematic なのか、2Dアニメなのか、クレイアニメなのか。

そのあとに [Shot 1] から番号を振って、カットが変わるところにタイムスタンプを置いていきます。

画面に出したい文字は引用符でくくる。

次が音の欄です。

雨、足音、衣擦れ、呼吸のような「その場で鳴っている音」を1文から4文で書きます。

ここにセリフと劇伴を書いてはいけない、とガイドが明記しています。

最後が劇伴の欄。

登場人物には聞こえていない音楽なので、楽器・テンポ・リズム・強弱で指定します。

「切ない雰囲気」のようなムード語で書くと効きません。

無ければ N/A と書けばいい。

この分け方が効くのは、H3が映像と音を同時に潜在表現として予測して、それぞれデコードしているからです。

出てくるのは32kHzのステレオ音声。

「雨の音がする」を映像の説明文に混ぜても狙ったところには入らないので、音は音の欄に置きます。

カメラは動きと振れ幅と速さの3点セットで書く

水彩で描いた 三脚に載せたカメラがレールの上をゆっくり滑っていくイラスト

カメラワークの書式も決まっていました。

動きの種類、振れ幅、速さの3つを組にします。

種類は Push In、Pull Out、Pan、Truck、Tilt、Arc Shot、Tracking Shot、Static Shot あたり。

振れ幅は with small amplitudewith large amplitude

速さは at slow speedat fast speed

公式の例文はこうです。

The camera pushes in with small amplitude at slow speed toward the folded letter in her hands.

見落としやすいのが、振れ幅も速さも「書かなければ中くらい・普通」という既定値を持っていること。

全部のカットに small だの slow だのを付けると、かえって不自然になります。

ガイドもこれを、やりがちな失敗として挙げていました。

セリフはもう少し細かいです。

話者に S1 S2 とIDを振って、[Japanese] 次の駅で降ります の形で囲みます。

対応言語は日本語を含む11。

ナレーションを入れたいときは「唇は閉じたまま」と明記しないと、口が動いてしまう。

こういうのはスペック表からは出てきません。

ライセンスは日本が対象内、ただし表示義務があります

ここを勘違いしたまま仕事で使うと厄介です。

ライセンス名は MiniMax H3 Community License Agreement で、Apache 2.0ではありません。

Apache 2.0という話が出てくるのは、テキストエンコーダに使われている Qwen3-VL-32B のほうです。

別の話なので混ぜないでください。

適用地域は全世界、ただしEU・イギリス・韓国・アメリカを除く、と書かれています。

除外された4地域は申請フォーム経由になりますが、日本は対象内なのでそのまま使えます。

商用利用も可能で、条件が2つ付きます。

  1. 作ったものに「Powered by MiniMax H3」と表示する。商用サービスならUI上に「MiniMax H3」を目立つ形で出す
  2. 年間売上が2,000万ドル、およそ30億円を超えるなら別途書面での許諾が必要

このほかに使用制限が20項目、別表として並んでいます。

オープンウェイトではあるけれど、オープンソースではない。

この線引きは押さえておいたほうがいいです。

768pで音つき15秒、そこを取りに行く

2Kが要るならホスト型のサービスを使えばいい話です。

手元の重みで取りに行く価値があるのは、映像と音が最初から一緒に出てきて、それが15秒つながっていること。

音を後乗せしなくていいというのは、編集の手順そのものを変えます。

そのうえで、勧めたい書き順が1つあります。

映像の欄から書かないことです。

overall_soundscape を先に埋める。

その場で何が鳴っているかを決めてから映像に戻ると、カメラも被写体の動きも勝手に決まっていきます。

前処理が非公開だという話は、裏を返せば「構造を知っている人だけが同じ品質に届く」ということでもあります。

3つの欄を空欄のまま並べて、音から埋めてみてください。